約2週間の旅は
あっという間。

朝福岡に到着して
その日の昼には
姪っ子達の運動会。
日常はあっという間に
戻ってきた。

こんなにひとりでいるのも
久しぶりだった。
ひとりが好きなのは
ひとりでいながら
いろいろな人の事を
思うからだ。
そして思う人達がたくさん在る
そんな日常は
有り難きこと。

そんな気持ちも
忙しさに追われると
すぐに影を潜める。
時には日常を離れ
そして
日常に戻る
「旅」は私には不可欠だと
痛感した。

パリ、ノートルダムの前の
「ゼロ地点」。
パリの始まりの場所。
またゼロから始めよう。

そしてこの旅の一番の収穫。

光と影、嬉しさと悲しさ、
相反する世界はおんなじ場所に在る
そうずっと思ってた。
けどね、
例えば、甘いものとお酒。
どちらも大好きなものだけど、
それがおんなじところに在るのは
少し罪というか
たま~にの特別なご褒美というか
あまりあってはいけないのかなと
思ってた。

catalystでレモンパイマティーニ
(甘いものとお酒)をいただきながら

「これでいいのだ」

と(バカボンのパパみたいだけど)
腑に落ちた。

極端に生きなくても
いいんだ。
で、
腑に落ちた後
とっても楽になった。

これからの人生の後半戦
レモンパイマティーニのように
いきていきたい。

私の日常
アターブルで
これからも
日々を重ねていきたいと思います。

時々旅に出ながら(笑)。

追伸。
旅のお話にお付き合い下さった方々
ありがとうございました。
いろいろな方々から
お声をかけていただきました。
嬉しかったです。

「書く」ことは
これからやっていきたいことの
大きなひとつです。
おつきあいいただけると
嬉しいです。
ありがとうございます。


旅のおはなしも最終地。
ParisからLondonへ。

パリ北駅からユーロスター。

駅は出会いと別れの場所。
パリを離れる時は
いつも少し切ない。
「また来るね」。
心のなかでいつもそう呟く。

ユーロスターの中でも
隣の席のアメリカ人女性と
終始お話して、
(彼女の旅の話を
携帯の写真を見ながら
ずっと聞いていた)
あっという間にLondon到着。

Londonを訪れた理由は
友人に会うため。

INDIGOというcafeを営み
お店を閉店するときに
レシピを受け継いだ
愛ちゃんの「今」、
前回再会した時の
「次はLondonで」という約束。

愛ちゃんの働くcatalyst.
大きな窓からの自然光が気持ちいい
地元の人達の活気溢れるcafe。

丁寧な手仕事
「食」という仕事に向かう
パッション。
愛ちゃんは以前会ったときより
たくましくしなやかだった。
彼女の使う
「survive」という言葉が
とても印象的だった。
異国で生活し働く事は
きっと穏やかではいられない事も
たくさんある。
INDIGOで木曜日にあった
スフォリアッテラ。
その層のように重ねる日々を
スタッフが心とパッションをこめて
作って下さったお酒を頂きながら
積もる話は止まらなかった。

catalystのものももちろん
その後訪れた
モダンブリティッシュのレストランも
「食はいまいち」(ごめんなさい!)
と言われがちな英国の
そのイメージは見事に
嬉しく打ち砕かれた。

何度でも言います。
「Londonは美味しい!!!」


ローストしたアプリコット
クランチとアイス。

地下鉄でそれぞれの電車で別れた時
振り返って見た
愛ちゃんの背中。
相変わらずの姿勢の良さ
凛として
美しかった。

今回ベルリンでもパリでも
そこに暮らす日本の友人知人に
お会いした。
皆、それぞれの地で
それぞれの日常を重ねる。
おおらかさ、柔軟さ、
たくましさ、朗らかさ。
目に浮かぶのは
どの方も笑顔。

最終日、
眠りから覚めたばかりの街。
ホテルを後にして
駅に向かう。
昇る朝日が力強く
セントパンクラスから覗く。

希望しか感じなかった。


もうひとつ、今回訪れた美術館。


ロダン美術館。

こちらは20年ぶりくらい。

せっかく花の季節に
Parisを訪れることができたので
ロダン美術館の美しい庭園を
歩いてみたくなった。

高村光太郎→ロダン→カミーユ。
私の青い時代の追憶。

美しい庭園に
たくさんの「苦悩する彫刻達」。


考える人 は
背中で語る。

Parisでうらやましいなと思うのは
遠足などで子供達が
訪れているのに遭遇した時。
モネの庭にも、ロダン美術館にも
子供達の姿が。
小さなときから
本物に触れること。
百聞は一見に如かず って
ホントだなと思う。


Parisには訪れたくなる
美術館博物館が山とある。
旅という限られた時間で
訪れることのできる美術館は
決して多くはない。
そんな中で
毎回必ずおとずれる場所がある。


オランジュリー美術館
モネの「睡蓮の間」。
自然光の中
360度睡蓮に囲まれるこの空間、
「天国があるとしたら
こんな風景かな」と思った。

中央に置かれた椅子に腰掛けて
天国に身を置く。
やさしい光りに包まれながら
考えているような
何も考えていないような時間。
空っぽだった何かは
充電完了のごとく
満たされている。

そして、長い間思っていた。
「いつか天国を
自分の目で観てみたい。」

Parisから1時間ほど
GIVERNYジヴェルニーという
小さな村。
パリサンラザール駅から
ルーアン行きの懐かしい電車に乗る。
ルーアンは今はブルターニュ住む
お母さんの家にホームステイした
懐かしい場所。
ルーアン行きの電車は
乗る度にきゅんとする。

その日は5月とは思えない
晴天で、夏空が広がっていた。

天国は楽園だった。

光は影があって
光である。
長く人生という旅を
描くことで全うした
ひとりの偉大なる画家の
光と影を
盛の季節の花々を見ながら
想った。


Parisは美味しいものがたくさん。

ムール貝は母の好物。
次回は母と食べよう。


ユダヤサンドウィッチ
ファラフェル。
ひよこ豆のコロッケの入った
ボリューム満天のベジサンド。


マミーガトーの
山羊チーズのキッシュ。
白ワインがもう一杯
飲みたくなる(笑)。


在仏の友人kさんが
訪ねて来てくださって家飲みしたり

はまちゃんと軽めの夕食を
たのしんだり。

よく食べ、よく飲み、
よく話し、よく笑う。
生きることは
食べること。
それがひとりであっても
大好きな人達といっしょでも
楽しく美味しい時間であることは
この上ない幸せ。

そんな「食事」に携わる仕事に
あらためて感謝した。

Paris、旨し。