夏になると涼しい部屋で
星野道夫の本を読むことが
恒例の夏の至福の時間。
涼しい空間で
あたたかな言葉に
包まれるのだ。

文庫本しか持っていなかった
「旅をする木」。
単行本は現在ほぼ品切れ状態で
ナツメ書店さんに古書を探して頂いて
手元にやってきた。

先日お客様とのお話の中で
星野さんの話がでたので
単行本をお貸しした。

数週間後そのお客様がやって来て
申し訳なさそうに
ラッピングされた袋を下さった。
開けてみると
新品の単行本の「旅をする木」。

話を伺ったところ
私がお貸しした本に
お茶のシミをつけてしまったため
新品を買って返してくださろうと
思われたそう。
ところがこの単行本
絶版状態なので近くの大きな書店にも
なかったらしい。
いろいろな書店に問い合わせて下さり
結局広島の書店から
お取り寄せ下さったとの事。

いろいろ問い合わせていく中で
書店の方が
「あの書店にはあるかも」と
情報を下さったり
そのやり取りが楽しかったとも。

気にならないくらいの小さなシミ。
とても恐縮してしまい
「探して下さった新品をご遠慮無く
いただくので、代わりに私の本を
受け取ってもらえますか?」
そう提案してみたら
「せっかくなので、新品は
ご自宅の本棚に。そしてこの本は
他のお客様が読んでもらえるように
お店の本棚に置いてください。」

以前、この「旅をする木」の文庫本の
「木」に一本横線をひいて「本」と
書かれた一冊の「旅をする本」が
手から手へ
いろいろな持ち主の元旅をしたという
テレビ番組を見た事がある。
実際、多くの日本の旅人が
この本を持って旅をして
外国の古書店やユースホステルで
旅人から手を離れ
新たな旅人へと渡った話しは
耳にしたことがある。
この1冊をきっかけに
結ばれたカップルも知っている。

そんな「旅をする本」。
アターブルでもたくさんの方に
手にとって頂けたらと思います。
Kさんのご厚意で、
アターブルの「旅をする木」に
最初の旅の物語が出来た事、
心から嬉しく思っています。

9月3日まで
久留米市美術館にて
「星野道夫の旅」という展覧会が
開催されています。
私も夏の終わりのおたのしみに
しています。


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