たとえば、ひとりでの散歩。
巡る季節を感じながら
心の中から言葉が溢れてくる。
誰とも話していない時
心はおしゃべりだ。
この状態が
最も自分が安定していると
感じる時だ。
本はいつも数冊同時に読むので
生活のいたるところに
読みかけの本がある。
そしてその作者の文面に
心の声をまねる「ひとりあそび」は
小さな頃からやっている
楽しい遊びだ。
今年に入って駆け抜ける日々に
その「ことば」たちが
とまっていることに
気づいてしまって
愕然とした。
もちろん「あそび」もない。
読みかけの本は
いつまでも次の本にバトンを渡せず
机やベッドに重なったまま。
そんな時、読んだ一冊。
羊と鋼の森。
その森のなかで
一気に息を吹き返した。
今年の本屋大賞を受賞した作品だそうだ。
大多数の意見を避けてしまう
少しへそ曲がりの私だが
年を重ねてきて
多くの者に支持をされるものは
ちゃんと理由があるなと
思うようになった。
大人になるって悪くない。
この連休
五月晴れの中
積み重なっていたいろいろを片付け
風通しのよくなった部屋で
言葉の森をゆっくり歩こう。