春。
始まりの季節。
「大学に合格しました」
時々お母さんと来て下さる息子さん。
その日は、お母さんと弟くんといっしょに
嬉しい報告でした。
次にお会いする時は
ちょっと大人の顔になっているのだろうなと
子供時代の最後の日を見させてもたったような
柔らかな春の昼下がり。
「希望」と「光」が
形となって見えた午後でした。
毎年3月は、転居や新しい道に向けて
別れの季節でもあります。
お店を始めた頃は、そんな場面に
切なくなり、なんだか3月は寂しい季節でもありました。
季節を重ねるうちに
そのお別れから再会を知ると
さよならはまた会いましょうだと
笑顔でこの季節を過ごせるようになりました。
その息子さんの好きな
バナナのタルトを
これからもここで
焼いていきますね。
お菓子やお料理のレシピに
そんな物語が増えていくのは
とてもしあわせなことだと
思っています。